はじめての“ダメ”をどう伝える?


 
自分の意思を持って自己主張を始める頃、そう1歳半から2歳頃でしょうか。
この頃になると、上手に走ったり、しゃがんだり、指先を使ってつまむことも出来るようになります。
つまり、自分の身体を思うがまま、自由に取り扱えるようになる頃でもあります。
その頃になると、子どもは自分を取り巻く環境に興味を抱き、散策を始めます。
ところがそれは、一方で危険を伴うことでもあります。
欲求のままに行動していては、自分や他人を傷つけてしまうことにもなりかねません。
 
そこで、初めての「ダメ!」が必要になってくるのです。
この「ダメ!」は、子どもが知る初めての「壁」です。
それまでは、自分の欲求はなんでも叶えてもらえました。
ところがある時、親から「それは叶えられない」と「壁」を打ち立てられるのです。
 
子どもは激しく抵抗します。
でも、「壁」はびくともしません。
 
子どもはあきらめ、別の方法を模索します。
どうすればこの欲求は叶えることができるだろう…。
 
別の方法を試すと、今度は受け入れてもらえました。
そこで、ようやく欲求を叶えることが出来たのです。
 
すると今度は、同じような場面に遭遇すると、子どもはうまく欲求を叶えることが出来た方法を選択します。
これをくり返すうちに、効果の高い方法として記憶を強固にしていきます。
このようにして、人は欲求を叶えるその子らしい方法を習得していくのです。
 
しつけとは、自分の欲求を叶えるためには、人や社会が受け入れてくれる方法が必要で
その方法を習得させることなのです。
ただこの時に、しつける側が心得ておかなければいけないことがあります。
それは、子どもにはそれぞれ豊かな個性があり、その特性を上手に活かしながら
対処する方法を習得できるように誘う必要があるのです。
特性は「欠点」や「短所」ではありません。
あくまでも才能に変化させていける可能を秘めた特性です。
ですから関わり方に気を付けなくてはいけません。
つまり、しつけの中には、特性を生きる武器【才能】に仕上げていくという視点が含まれているのです。
 
例えば、衝動性のない子は、伝え方に工夫がないとなかなか聞き入れることが出来ません。
メリハリをつけてはっきりと、わかりやすく伝える必要がありますね。
 
ところが、怖がりな子には、同じ方法ではかえって委縮してしまうかもしれません。
自分の気持ちを押し殺すことのないように
ちゃんと気持ちを言葉にして人に伝えることが出来るように
親は、子どもの心模様に注意を払う必要が出てきます。
 
マイペースでこだわりの強い子は、何度も繰り返し根気よく伝えていくことが大切です。
自分なりのルールを構築し、融通が利かないことで困ることが増えるからです。
ただし、伝える側は感情的にならず、あくまでも冷静沈着に対応するのです。
 
甘えん坊の子には、ついつい甘やかしてしまわないように
ダメなものはダメだと、心を鬼にして動じないで伝える工夫が必要ですね。
 
要は、しつけとは、子どもの持つ特性を活かしながら
皆に受け入れてもらえる方法で、欲求を叶えることが出来るようになること
これを目指すのです。
これらのことを念頭に『初めてダメを伝える時のポイント』をまとめますね。
 
① 危険が伴うことに限定する
 つまり、なんでもかんでも「ダメ」と伝えないこと
 多くは、事前に危険なものは取り除くなど環境を整えてあげることで回避してください。
 なぜなら、初めてダメを伝えられる子どもの達成すべき目的は
 世の中には思う通りに行かないことがあるんだという“限界の存在”を知ってもらうことにあるからです。
 
② わかりやすく伝える
 子どもが聞き入れない多くの場合は、伝え方に問題があります。
 つまり、子どもが判断に困るはっきりしない伝え方になっているのです。
 あいまいにせず、子どもが「なるほど!これはダメなんだ」と
 明確に理解できるように伝えましょう。
 【伝え方】
 *声を半オクターブ低くする
 *真顔で真剣な表情をつくる
 *短い言葉で、そして厳しい口調で伝える
 *両手を抑えるなど、問題となる行動を制止させる
 *頭を左右に横に振る
 *指で×を示す
 
③ 泣いても動じず対応
 大泣きする場合は、何も言わずに、ただ受け止めてあげることです。
 それよりも、残念な気持ちがあふれてくることを許してあげてください。
 「残念だね、悔しいね、でもダメなのよ」と言ってあげましょう。
 
④ 最後はHUGやスキンシップを伴いながらほめて終了
 結果的に「ダメ」を受け入れられたのであれば、必ずほめることを忘れないでください。
 「よくがまんできたね」
 「それでいいよ」
 とわかりやすく伝えてあげるのです。
 
⑤ 葛藤する「間」を与えてあげる
 「ダメ」を伝えるということは「どうすればいいか」を教えることです。
 つまり、子どもの中に、欲求を叶えるための新しい方法を習得させることがゴールです。
 そのためには、「葛藤」はつきもの。葛藤しながら模索させてあげるのです。
 そのためには、葛藤する「間」をつくってあげてください。
 決して親の言う通りに、すぐに従う子をつくらないでくださいね。
 
これらのことを参考にしながら、是非お子さんの特性を理解し、活かしながら
社会に受け入れられる方法が習得できるように支えてあげてくださいね。