人間の中に秘められた“利他性”

 

人間という生きものは、本当に不思議な生きものだと思います。
生きものである以上、生存欲求をベースに判断基準を作り上げていますが
人の中に秘めている生存欲求のカタチは
単に「自分さえ良ければいい」「自分さえ生き残れればいい」とはなっていないのです。

 

経済学者の大竹文雄教授(京都大卒・大阪大学社会経済研究所教授)によると
子どもの頃に、神社やお寺、お地蔵さんが近所にあった人は、人のために何かすることが
「嬉しい」という利他性や助け合いを大切にする互恵性が高く
他人を信頼していくといいます。

 

そして、そういう人たちは所得を高めることに貢献はしないものの
地元の人間関係を大切にして、健康で幸福度が高いことがわかっているといいます。
利他性や互恵性を重んじる価値観が、お金では手に入れられない人間関係をもたらし
人の幸福感や健康を高めることに深く関与しているというわけです。

 

自然と共存し、他人と深く関わり、自分が損害を被ったとしても
誰かが助かるなら自分は幸福感を感じることが出来る、という価値観です。
共同体のしあわせに寄与する精神性。
その芽となるものを、誰もが遺伝子の中に刻み込んで生まれてくるのです。

 

その芽を萌芽させる、芽吹かせるのが
大人の責任なのですね。

 

では、どうやって芽吹かせるか。

 

このことを知って、急に神仏に手を合わせても幸せにはなれません。
そういう人は、人間関係よりお金で幸せをつかんだ方がいいと
大竹先生もおっしゃっています(笑)

 

人の『幸せを感じる尺度』は、人それぞれです。
お金、名誉、権力、健康、人間関係…
自分の価値観の尺度を、今一度じっくり吟味してみるといいですね。
そして、その尺度を広げるチャレンジをすると、幸せは手に入れやすくなるかもしれません。

 

人間は、何かしてもらったら何かをしてあげたくなる「互恵性」を持ち合わせている。
そして、公平じゃないことは嫌だと感じる感覚を持っている。

 

『もらっていない』という枯渇感を持っている人は
なかなか『あげられない』ことに苦しむかもしれません。

 

いや、自分は『もらえている』と思えると
心はどんどん満たされて『あげる』ことは減ることじゃないと思えるようになるはずです。

 

そのスイッチの入れ方を、大人がやってみせることが
子どもを幸せにする一番の近道かもしれませんね。