性格は変えられる

 

性格に関する研究が、遺伝子や脳科学の分野でも深められるようになってきました。
そうなると「性格が遺伝で決まるなんてよくない」という意見も出てきます。
当然、遺伝子で性格は決まりません。
むしろ性格は、いかようにでも変化できるものです。
「性格」に似たような言葉で、「気質」や「パーソナリティ」がありますので整理してみましょう。

「気質」…周りの環境に無意識に反応する、遺伝の影響を受けている、永続的なもの
「性格」…自分で自覚できるもので、意識的な行動であり、変化し、成長し続けるもの。
「人格」…一生を通じて変化し続けるもので、知能・思考・感情・性格など人の心の側面を
すべて統合したもの。

 

つまり、持って生まれた「気質」があり、それは環境刺激に対してどう反応するかという機能であり、遺伝的にプログラムされている部分です。
「気質」を使って自分を取り囲む環境に反応して、その結果、起こる変化を次々と学習する中で培われていくのが「性格」です。
性格は、経験によって作られるものですから、経験を変えれば変化し続けるものなのです。

 

初めて出会う新奇的なものに対して、警戒する気質もあれば、近寄ろうとする気質もありますよね。
どんな異質であれ、価値のないものはないのです。
なぜならば、人の多様性を持つことは、生き延びるためには必要だからです。
例えば、率先して危険に立ち向かう者もいれば、脇を固めることに長ける者もいるし
集中力を維持し続け、命中率の高い武器を作ることに長ける者もいることで
危険な環境の中でも生き延びることを可能にしたのです。
ところが、気質の持つ価値を活かしきれずに、人生を終わる人も沢山います。
特に現代は、その傾向が顕著だといわれています。
どうすれば、持って生まれた性質を活かして、可能性を最大化させていけるのでしょう。

 

気質を価値あるものにするためには、性格を成熟させるしかありません。
性格が未熟なままだとどうなるかというと、気質がそのまま肥大していきます。
例えば、怖がりな気質の場合は、過度に敏感な性格になるでしょうし、好奇心の強さは、気の向くままブレーキがかからず犯罪に近づくかもしれません。
いずれにせよ、生きにくさを抱えることになります。
でも、本人は他の方法を知らないので、非効率な生き方であろうとも、そこから離れることはありません。
この場合、生き方を変える特効薬はありません。
あくまでも本人が「なんとかしたい」と思わない限り、変化することは難しいのです。
ましてや、現代は人と深く関わらない社会なので、あなたの生き方はそれでいいの?とおせっかいに関わってくれる人がいません。
「本人がそれでいいって言っているのだから、いいんじゃないの?」と捉えられてしまい
本当は生きにくさを抱えていても、気づいてはもらえず、人と人との関係性は“無関心”に彩られていきます。
では、どうすればいいのでしょう。

 

手掛かりはいくつかあります。
まずは、自分の特性をよく知ること、そして、しっかり自己受容すること。
自己受容とは、自分で自分を受容する、自分はありのままでいいんだと受け入れることです。
子どもの場合は、傍にいる大人がしっかり受容してあげることで、自分でも自分を受容することが出来るようになります。
ここで、よく聞かれるのが、わがままを受け入れることと、受容することの違いについてです。
成長に合わせて「ダメなものはダメ」と、立ちはだかる壁はしっかり提示しなくてはいけません。
そして、泣こうがわめこうが壁を受け入れたなら、しっかりほめてください。それが受容です。
決してわがままを許すとは違うのです。

 

次に大切なのは、他者受容です。
人とつながり、集団をつくることで生き延びにかけた人間は、他人と関わる力を持たなくてはいけません。
自分と違う価値観や感じ方を持つ他人を受け入れるということです。
異質なものを避けて、自分の心地よいものばかりに囲まれていては、他人との間に大きな壁を作ってしまうことになります。
嫌なこと、不快な感覚に遭遇した時こそ、自分を知る、他人を知るチャンス!
嫌だと感じるのはなぜか、必ず背景があります。
その背景を知りにいくことが、自分を深く理解することにつながります。

 

あとは、目的意識を持たせること。
思春期~青年期にかけて目的意識を持つことはとても重要になります。
「何のために?」「どうなりたいの?」という問いかけに対して答えがなければ
自分の人生をプロデュースしていくことは出来ません。
昔は、それこそ戦後の焼け野原から立ち上がる時代は、社会の構造が目的を持ちやすくしてくれました。
その時期にしっかり目的意識が持てるようになるためには、小さい時から「あなたはどうしたいの?」という問いかけをしてあげることです。
そして、ありとあらゆる経験を積ませ、壁にぶつかってもチャンス!と捉えて、問題解決スキルを高めていきます。
何が起きても、自己責任という意識を育ててあげるのです。
自己責任とは、何も責任を一人でしょい込めということではありません。
自分を責めるという意味でもありません。
強いて言えば、人のせいにしないということです。
「私がもっと~なら、違う結果・変化を作り出せるかもしれない」
と思えることです。
よくいう「人は変えられないけれど、自分は変えられる」ということでもあります。

 

自分の力で
自分の責任において
自分の願う通りの行動選択をすること
結果がどうであれ、受け入れ、次の選択を考えて決めていく
そのくり返しの中で、本当に自分が望んでいる方向に物事は必ず進んでいくのです。
だからこそ、まずは自分をよく知ること、自分の本当に願っていることは何か、望んでいることは何かを
ちゃんと見つけること、見定めておくことが大切なのです。
この一連のプロセスが、性格を成熟させる重要なカギになるのです。