16秒HUG


 
日本人にはなかなか馴染みの薄い「HUG ハグ」ですが
欧米では老若男女問わず、よくHUGをします。
親しい関係であれば、例え街中であっても抱き合うという文化を持っていますよね。
 
以前、勤めていた研究所でも、HUGを日常的に行っていました。
心の治療を専門とする医療機関でもあり、様々なセラピーを行っていましたので
初めて相談に訪れる人はちょっと戸惑うのですが
患者さん同士で頻繁にHUGをくり返すうちに
次第に緊張が解けて、癒しの効果に魅了されていくようでした。
 
最近では、HUGが心や身体にもたらすメカニズムも解明されてきました。
肌と肌が触れ合うと「オキシトシン」という脳内物質が
盛んに分泌されるということがわかったのです。
「オキシトシン」は「ドーパミン」のような強烈な高揚感とは違い
安心感に満ちる
しあわせな気分に浸る
穏やかな心地よさに包まれる
といった精神状態をつくり出します。
 
ここで興味深い実験をご紹介しましょう。
ハーロウ(Harlow,P)が行った アカゲザルの実験です。
 
生れたばかりのアカゲザルの赤ちゃんを、2種類の代理母の模型で育てようという実験です。
1つは金網で出来た模型で乳瓶が付いています。
もう一つは金網をタオルで包み、哺乳瓶はありません。
 
生れたばかりのアカゲザルの赤ちゃんがどちらの人形を好むのかを観察したのです。
すると、ほとんどの時間をタオルで包まれた代理母の模型にしがみついて過ごすことがわかりました。
お腹が空いた時には金網の代理母のところに行きミルクを飲みますが
お腹がいっぱいになるとすぐに戻り、タオルにしがみつくことがわかったのです。
今考えれば、きっとオキシトシンの分泌を盛んにさせたのかもしれませんね。
 
生まれたばかりの赤ちゃんにとって「安心感」や「多幸感」を感じることは
今いる自分の環境が身の安全を保障してくれるということを知らせてくれるというわけです。
 
近年の研究では、スキンシップや見つめ合うことでも
「オキシトシン」の分泌が高まることがわかっています。
中には、どれくらいのスピードで肌をさすると心地よさが高まるのかを調べた実験もあるんですよ。
確か4~5秒毎に手を動かすのが、一番効果が高まると報告していたと記憶しています。
幼い子どもが安心感、安全感を感じることは、心の土台をつくる上では欠かせません。
 
そこで、短い時間でも効果的に安心感を体感させてあげられる
「16秒HUG」を考えました。
最初は❶~❹までの流れをお子さんと一緒に秒数を数えながら行ってみてください。
そのうちお子さんが、自分から「ママ!16秒HUGしよう!」と
求めてくるようになりますよ。
出かける前、寝る前、帰宅した時…などなど
生活の切り替えのタイミングで、行ってみてもいいですね。
 
是非、日常生活の中に取り入れて
苦しいこと、悲しいことが襲っても必ず心を支えてくれる
盤石な心を育ててあげて欲しいと思います。
 
【16秒HUG】
 
❶同じ目線で向き合い、一度しっかり目を見ます。
 両手を頭に当てて、ゆっくりと肩→腕を撫で、最後に手をしっかりと握ります。
 

 
❷両手で優しく頬を包んで深呼吸します。
 

 
❸両手を広げて「さあ、HUGしましょう」の合図を送ります。
 そして、両腕で子どもをしっかり自分の胸に抱き、後頭部・首の後ろ・背中をゆっくりと擦ります。(この時、せわしなく手を動かさず、4~5秒毎に手を上下に動かしてください)
 

 
❹もう一度、両手で頬を包んで「おしまい」の合図を送ります。
 

 
衝動性が強いお子さんでも、HUGを頻繁に行ったところ
ひと月後には攻撃や妨害といった行動が減ったという報告もよく耳にします。
 
子どもだけでなく、是非ご夫婦の間でも
意識してHUGを習慣にしてみてください。
きっとご家庭の中が安心感・信頼感に満ちてきますよ。