会社とはなにか?

会社は誰のものか?
 
20年前くらいでしたか
NHKでも特集として取り上げられ
株主のもの?
経営者のもの?
社員のもの?
とさまざまな立場の方がディベートする
番組をいくつも見た気がします
 
僕は
会社は誰のものか?
の前に
会社とは何か?
の答えとして
「会社に参加する個人の能力を換金する場所」
といつも説明しています
 
さて
“能力”とか“換金”という言葉について
少しお話してみましょう
 
その人の“能力”とかそのものの“能力”
あるいは
その人の“特性”(=優位性、独自性)
とかそのものの“特性”
というものは
それ自体に“価値”があるのではありません
 
“能力”や“特性”は
交換されることで
はじめて“価値”を付与されるのです
 
つまり
自分の持っている“能力”“特性”“資格”
というものは
交換を求められたときに
はじめて“価値”が生まれるのです
 
ですから
価値を与えてくれるのは
いつも「他者」です
自分やそのもの自体に
“価値”は存在しないのです
 
そして
“換金”ですが
これは「価値交換」のことを
指しています
 
能力や特性の売り手と
それを必要とする買い手の間で起こる
交換のことです
 
「価値交換」は
“等価交換”が原則ですが
売り手の提示よりも
買い手の欲求のほうが高いと
交換が起きやすくなります
 
つまり
売り手の能力・特性=買い手の欲求度
よりも
売り手の能力・特性<買い手の欲求度
となったときに
「価値交換」は起きやすくなるのです
 
そしてこの「価値交換」が起きる
土台として
“信頼”が求められます
 
“信頼”がないと
交換は起きません
 
いくら能力が高くても
そのものが優位性を発揮し
独自性を担保していても
“信頼”がないと
交換は起きません
 
ある人が能力を持ち
優位性・独自性を保有していたとして
この人が突然道を歩いている人を呼び止め
「私は○○の能力を持っていますから
 この能力とお金を交換してください」
と懇願しても
なかなか「価値交換」は起きないでしょう
 
それは
“信頼関係”が築かれていないからです
 
人は個人で自分の信頼度を証明するより
複数の仲間とともに
自分たちの能力や優位性を説明したほうが
“信頼”を得やすいでしょう
 
買い手は
売り手の関係性から
この集団が信頼に足るかどうかを
判断するからです
 
売り手が買い手から
さらに強力に“信頼”を勝ち得るには
売り手の集団が「組織」になっている必要があります
 
「組織」とは
①合意・共有された目的がある
②メンバー全員がその目的を実現したいという貢献意欲を持っている
③互いにコミュニケーションを活性化させたいと思っている
がその成立要件だとチェスター・バーナードは言っています
 
つまり
「何を実現したいか」
を明確にし共有している複数人が
その実現のため
互いの能力を切磋琢磨し
買い手との信頼関係を
絶対条件として
能力提示をおこない
 
その能力を
買い手が欲求し
「価値がある」
と認め、価格として交換することで
 
売り手の組織に参加している
個々人の能力は
組織として換金され
給与として分配される
のです
 
 
ですから
会社とは何か?
という問いに対して僕は
「会社とは参加する個人の能力を換金する場所」
と答えているのです
 
そして
会社は誰のものか?
という問いに対して僕は
「会社は参加する社員のものである」
と答えています
 
さらに
経営者とは
「参加する個人が能力発揮しやすいように
 場を作ったり 仕組みを整えたり 育成したり
 生き方を支援したりする 支援者」
であると考えています
 
社員個人が
自分に厳しく
顧客との信頼関係を絶対条件として
日々勉強し努力する責任を
自認しているなら
僕は徹底的に
その社員を受容し支援するでしょう
 
しかし
社員個人が
自分に甘く
顧客との信頼関係をないがしろにし
現状維持で精いっぱいだと
言うのなら
僕は徹底的に
その社員に
「組織の原則」
を教えるでしょう
 
当社は
誰かのために
自分を活かして
生きている人が集う場だからです
 
それが
教育業を生業とする者が
一生をかけて実践していく
掟なのです
 
真剣に
誠実に
ずっと・・・