料理走馬燈

昨夜は、“根菜ひじき”を作ってみました
れんこん にんじん 大豆 こんぶ ひじき
を炒めて 酒と醤油と味醂で味を調える
 
ん~ なんでこんなものを作りたくなったのか
食物繊維 鉄分 ミネラル?
エイヨウジャナイヨ チガウ チガウ
おお これは小学校の給食の香りじゃないか!
ある意味 帝国ホテルの料理より美味しい世界
 
にゃるほど これを味わいたくて“根菜ひじき”を作ったのか
ほほ~
しかし小学校の給食は
なぜあんなにも食欲と安心感を誘うのか
独特だ 独特すぎる
母の味とはまた違う 夢の世界
不思議やね~
 
想えば 高校生の頃から料理を楽しんできた
母の見よう見まねで なんとなく作り始めた
最初に作ったのは メザシと味噌と麩の即席味噌汁だった
そして ショウガ味焼きそば…
勝手な創作料理を作れば作るほど
「おいしいね!」と家族が褒めてくれた
 
大学に入って独り暮らしとなり
作らねば食えない生活が始まったことで
ますます熱が入った
そういえば 大学に入って3か月目くらいで
男女8人の同級生を下宿に呼び
ミートスパゲッティをごちそうしたっけ…
 
あの頃 凝ってたんだよね スパゲッティ
 
その後 人生で初めてのアルバイトを経験した
パン屋さんの喫茶部でコーヒーを淹れたり
サラダを作ったり サンドウィッチを作ったり…
 
そういえば 18歳で喫茶部を任されてたなぁ
オーナーから鍵を持たされて
朝6時にはお店に毎日入っていた
まっくらなお店の中で
ただ一人 開店までにコールスローサラダや
何種類かのサンドウィッチ コーヒーを淹れて
お客さんを待つ
7時を過ぎると いつもの常連さんが 
「おはようさん!」と入ってくる
 
大学生だったけど 
よく毎朝5時に起きてやってたな 僕…
いやそれ以上に
よく素人の青年に任せてたな オーナー
あの方 ほんとうにすごい!
 
それからも 僕の料理は次々と展開を見せ
居酒屋のアルバイトでは
揚場 焼き場 刺し場 すべてを回らせてもらい
職人さんから「料理」を教えてもらった
飾り包丁も覚えるようになった
 
たくさんの人に
ものごとの「フレーム」を教わって
「技術」を学んだ
 
「いいか 長尾 料理はな 片付けながら完成させるんだ
料理が終わった後に 散らかってちゃダメだ
始める前と同じ状態で料理を出す
これが大事
そうでないと さまざまなオーダーに
すぐ取り掛かれないだろ?」
 
これは現在 仕事をする時にも
たいへん活用できるノウハウ
 
お客さまのために
いつでも動ける自分を用意しておく
これはマネジメント理論そのものかもしれない
 
こんなふうに
たくさんの大人から
たくさんの知恵を教えてもらった僕は
子どもの運動会でお重を作り
小学2年生だった娘のバレンタインに
それぞれの想いに浸りながら
小学5年の愛する彼のために
ふたりでチョコレートケーキを作った
 
娘を車に乗せて「彼」の自宅まで走る間
娘が言ったことばが 未だに忘れられない
「ねえ、お父さん 
わたし まさるくんを愛して
 もう三年になるよ…」
 
父 絶句 父 絶句
はあ そうですか…
そりゃ すごいね 愛は 苦しいよね
だけど ケーキは ほぼ全部
お父さんが作ったんだけどねっ
 
料理は
さまざまな思い出を
僕の中に刻み込む
 
味と 香りと 眼と 耳と
触り合う感覚で…
 
だから料理は楽しいのかもしれない
だから料理は
大切なあの人を
しあわせにすることが出来るのかもしれない