Attachment Galore

皆さんは
“情緒的対象恒常性”
という言葉をご存知でしょうか
 
ハンガリーの精神科医マーガレット・マーラー
(1897年5月10日~1985年10月2日)
が提唱した
「分離固体化理論」
の中で記述されている
概念です
 
マーラーは
小児精神科臨床の大量の経験を通じて
乳幼児の自我が
母親と未分化な状態から
心理的に自律した自我として
成立するまでの
精神発達の過程を
“乳幼児の発達理論”として発表しました
 
ここで
少し「分離固体化理論」について
触れておきましょう
 
1.未分化期(1~4か月)
  *正常な自閉期(1~2か月)
     自分と外界の区別がなく自分の世界に閉じこもり自閉的な状態
  *正常な共生期(3~4か月)
     母親を自分の一部ととらえており自他未分離の状態
 
2.分離・個体化期(5~36か月)
  *分化期(5~8か月)
     母親は自分ではなかったと気づくとともに
     自分を生かしてくれる母親に興味を示しそれ以外の人には
     「人見知り」を始める
  *練習期(9~14か月)
     歩けるようになり 母親から離れ自立を探るようになる
     未だ母親がそばにいないと「分離不安」を起こすが
     母親から「情緒的エネルギーの補給」をおこない
     母親を「安全基地」として自立を目指す
 
  *再接近期(15~24か月)
     どんどん自分で活動する領域が広がる時期であるが
     母親との距離が離れる分 「分離不安」も高まる時期
     母親にしがみつくなどして「見捨てられ不安」を解消し
     ほんとうに自分は必要とされ捨てられるはずはないのか
     確認を繰り返す
     この繰り返しの中で
     基本的信頼感(=他者信頼感+自己信頼感)
     ↓
     「他者信頼感=他人を信じてよい記憶」
     「自己信頼感=自分を信じてよい記憶」
     を確かなものに仕上げていく
 
  *個体化期(25~35ヵ月)
     母親からの分離が成立し
     離れていても大丈夫な自分を確立する時期
     母親不在の“耐性”も育ってくる
 
3.情緒的対象恒常性の確立期(36か月~)
     子どもの心に
     『自分を守ってくれる母親・父親・祖父母などの安定した心像イメージ(=表象)』
     が形成される段階
     その対象恒常性(自分を支える内的なイメージ)の確立によって
     分離不安や孤独に対する耐性が高まり
     一人でも意欲的・適応的な行動をすることができるようになっていく
 
 
マーラーは乳幼児の発達をこのように表現しました
 
私たちナーチャーウィズは
“その人らしさは記憶によってつくられる”
とさまざまな場面で申し上げていますが
 
このマーラーの理論のように
乳幼児期に
親(特に母親:実は特定の養育者)から
どのように扱われたか
親とどのような感情体験を持ったか
その中で自分・他人・社会を
どのようなものとして記憶したか
 
によって
その後 人は“自分”というものを定義づけ
そのイメージどおりに自分を創り上げていく
のです
 
どうも
この時期につくられた記憶が
人格の土台を
強固につくりあげてしまうようですが
 
人格とは実は
あやふやな「記憶」でつくられているわけですから
いつでも いつからでも
変えられるのです
 
人は何歳からでも変わることができる
 
そのための支援をさせていただくのが
ナーチャーウィズという会社の
存在意義でもあるのです
 
しかし
現代はほんとうに変化の激しい
不安定な時代です
 
SNSがこれだけ急速に
世界中で活用される背景には
“つながりたい”欲求に苛まれている
人間のあえぎのようなものが見え隠れします
 
たしかに
国家 地域の分断はもとより
親族・家族の関係性の希薄化
夫婦の他人化
親子の物理的共有時間の減少など
 
「孤立化」による
人の
「不安感」「心配・気がかり感」
「“生きている実感”の喪失感」
は増殖し続けているようです
 
ですから
事業を展開していく中で
「安心感」に苛まれている子どもが
増えているな
と感じています
 
マーラーのいう
“情緒的対象恒常性”
(親がそばにいなくても
自分は必要とされ無条件で愛される存在だ 
だから大丈夫だ と信じられる内的自己イメージ)
が揺らいでいる感覚を
子どもたちに見るのです
 
そんな中
私は最近
“Attachment Galore”(アタッチメント・ガローラ)
という造語を言葉を使い始めました
 
Attachment=愛着
(乳児が特定の人との密接な関係を求める傾向や
それらの人がいることにより安心する傾向)
Galore=あり余るほどの
(その愛着があふれるほど注がれている)
 
 
その意味は
私たちと出会ったすべての子どもたちが
どこにいても
なにをしていても
 
「わたしは大丈夫」
「ぼくはやれるよ」
「だって本気で愛してくれた大人がいたもの」
「心から大切に丁寧に ぼくを扱ってくれた先生がいたもの」
 
という記憶を創る
 
どんなときでも
「守られている」と
抱かれている接触感覚
やさしく包まれている抱擁感覚
 
を子どもたちに送り続ける
 
これを全社で広めていこう
と決心したからなのです
 
“Attachment Galore”(アタッチメント・ガローラ)
 
皆さんも
覚えていただけるとさいわいです