“父”という仕事


いまどきのお父さんについて考えると
「叱らないお父さんが増えたな…」
と感じます。
 
先日も目撃しました。
 
スーパーで走り回るわが子に
優しく「ほら、走らないよ」と
注意するお父さん。
ところが、子どもは「やだよ!」といい
聞き入れる様子もなく走り続けます。
周囲の人にぶつかるのを
お父さんが頭を下げて平謝り。
「困ったなあ…」とぼやきながら
元気に走り続けるわが子の後ろを
追いかけます。
 
≪ガツンと叱らないのかな…≫
と、じれったい気持ちになりました。
 
お父さんに限らず
世の中も子どもを叱らなくなりました。
 
個性を尊重し、子どもの良さを見つけ
ほめる育て方が尊重されるようになりました。
それはとてもいいことですが、一方で
叱ることがめっきり減っていることも
気になります。
 
こんなこともありました。
 
ホームで電車を待っていると
塾に通う子どもが数人じゃれ合っています。
1人をホームの近くまで追いつめて
まるで度胸試しを迫っているかのよう。
電車が到着するアナウンスが流れます。
周囲にいる大人は誰も注意をしません。
思わず「危ない!やめなさい!」
と声をかけると、子どもたちは驚いた様子で
チラチラとこちらを見ながら
そそくさと移動していきました。
 
大人であろうと、子どもであろうと
「どう関わればいいのかわからない」とか
そもそも「関わりたくない」という人が
増えています。
 
その結果、子どもたちは「叱られる体験」が
めっきり減りました。
自分の前に立ちはだかってくれる人が減り
不快な体験をする機会も減り
苦しくても逃げないことを強いる機会も減り
家の中には母親だけが二人になっている
家庭もあります。
 
子どもを慈しみ
愛育し
保護することで
安心の補強をし続けるのが
母性機能だとすると
父性機能は
限界を伝える
ルールを提示する
自立を促す
つまり、自立促進機能です。
 
父性機能は
何も父の仕事というわけではありません。
あくまでも機能なので
どちらがやってもいいのです。
ただ、父性機能は
厳しさが伴う自立促進機能が主軸。
かわいそうだからといって
「ダメなものはダメ!」と
凛として立ちはだかれなければ
すぐに機能不全に陥ります。
 
そして、機能不全状態が長期に渡れば
忍耐力
突破力
推進力
粘る力
感情コントロール力
チャレンジ精神といった
我慢を重ねる中で培われる
心身の“耐性”の育ちが危ぶまれます。
 
時には、わが子の背中を押して
「ほら、やってごらん」と
未知の世界へ誘い
冒険に乗り出すことを
応援する大人が必要です。
 
そう考えると
自立促進機能を担うのが
感情に流されやすい女性の場合は
不得手で、要注意かもしれません。
感情が揺れやすいので
目的がブレる危険があるからです。
 
父性機能は厳しさを伴うので
子どもから嫌がられる側面もありますが
その結果、子どもを強くする
荒波が襲って来ても
越えていける力を育むという
大きな責任を背負っていることに
気づかなければなりません。
 
つまり、父性機能を担う人は
目先の優しさとは違う
深い優しさが必要なのです。
これは、視座を高くしないと見えてこない
物事を俯瞰する力が問われます。
つくづく、本来の父の仕事とは
壮大さが伴うものだと改めて感動します。
 
子どもが自立を始めたら
親は父性機能を意識してあげてください。
わが子にくまなく父性機能が届けられているかに
関心を持ってもらいたいのです。
 
不愉快な体験、不安な体験を
乗り超える力育ては
自我が芽生えた頃から少しずつ始まります。
 
お子さんが「自分でする!」「嫌!」と
感情を表現するようになってきたら
是非、ご夫婦で“親機能”について話し
役割分担を考えていきましょう。
そして「少々のケガは付きものだ」
「自分の力でやってごらん」といって
冒険に連れ出し
たくましさを育んであげて欲しいなと思います。