人は記憶によってつくられる

「あなたはほんとうに明るい人だね」
とか
「そこがあなたの良いところなんだよ」
など
人には
その人を特徴付ける
持続的な傾向値がありますよね
 
概ね
その人が
選択する(あるいは表現する)
行動の傾向値
 
これを“性格”(character)
といいます
 
この“性格”に似たものに
“人格” や “気質”
という言葉があります
 
それぞれはどのように
違うのでしょうか?
 
性格(character)
その人の表面に表れた
他の人と区別されるような特徴
 
気質(temperament)
その人の特徴の基底をなす
比較的永続的で安定的な部分で
生得的側面が強い
 
人格(personality)
性格、気質を含み
知能・情緒・身体性も含めた
より包括的な概念
 
G・オールポートは人格を
 
個人に内在して
環境に対する独自の適応を決定する
精神的身体的体系の動的組織
 
であると定義しています
 
人は
遺伝的・生得的な
持って生まれたものだけで
人格がつくられるわけではありません
 
それは
見分けもつかない
一卵性双生児が
思春期とともに身長や顔かたち
興味関心を抱くものの
違いが明確になるという
エピジェネティクス
からも明白です
 
では
人はどのようにしてつくられるのか
 
他人とは違う“自分”とは
どのようにつくられるのか
 
それは
気質でだったり
愛着のカタチであったり
めぐり合う人との関係性であったり
知性であったり
 
さまざまな影響因子で
もちろん
人はつくられていくのですが
 
ひとつ
キーワードとして
お伝えしたいのは
 
『記憶』
 
という言葉です
 
人は
どのような環境に生まれ落ちても
生き延びていけるように
真っ白な状態で
この世に生まれ出ます
 
その真っ白な状態に
色や文字や計算式
ルールや反応パターン
などを書き込んでいくのが
“親”であり“大人”です
 
乳児・幼児は
親や大人の反応パターン
興味関心のあるもの
感じ方や価値観を
そのまま吸収して
生き延びようとします
 
親や大人からすれば
「私の良くないところは吸収しないでね」
と言いたいところですが
残念ながら
子どもは
親や大人のすべてを吸収します
 
すべてを信じ
すべてを見習って
“自分”を必死でつくろうとするのです
 
その
親や大人との関わりで
積み上げていくものが
 
『記憶』
 
です
 
その記憶づくりで大切なのは
親や大人がどのような思いで
子どもに対して
その行為を
おこなったかではありません
 
その子が
親や大人にされた行為を
どのようなものとして
記憶したか
が重要なのです
 
つまり
人は
どのような記憶を
乳児期から積み上げたかで
 
自己信頼感や
他者信頼感
という
「基本的信頼感」
のカタチが変わり
他者との関係性のつくり方
が変化するのです
 
ですから
親や大人が
その子の生まれながらの
特性に合った
社会適応的な行動の記憶
自己効力感を満たす記憶
精神的回復力(レジリエンス)
を示した記憶
受容され愛された記憶
無条件で許された記憶
 
を安定的・持続的に肯定し
積み上げてあげれば
その子は自ら
遺伝的・生得的な特性を
才能へと磨き上げていくのです
 
「育成」とは「記憶」をつくること
 
人の
言動や行動
表情や態度を見て
その人を判断する時
 
その人が
どのような環境で
どのような記憶のカタチを
積み上げてきたのかを
是非イメージしてあげてください
 
その記憶を
動画のように眺め
背景を感じることができたら
 
きっと
その人に対する
共感が生まれるはずです